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天然皮革を超えた人工皮革

自然にやさしい人工皮革 

 天然皮革は動物の表皮を加工した素材であるため、上質な皮革を必要量得るためには、動物を多数捕獲することになります。上質な皮革は野生動物の表皮を加工して得られる場合が多く、そのため上質な皮革の需要を満たすため、かつて野生動物が無計画に乱獲され、種によっては絶滅したり絶滅の危機に瀕したものもありました。しかし人工皮革は化学合成による繊維を原料として作られているため、このような野生動物の乱獲という事態を招くことはありません。
 天然皮革は、コラーゲンの微細な繊維が数百本収束してファイバーを作り、このファイバーが数十本収束したファイバーバンドルが三次元的に絡み合った構造をしています。皮革を見ると、その表面は艶があり、裏側は毛羽だっています。この艶のある表面を銀面層といい、その下の中間層を経て強度がある網様層からなり、皮革はこれらが連続した構造となっているのです。銀面層が柔軟性があって手触りが良く艶があるのは、ファイバーバンドルが極めて緻密になっているためです。
 天然皮革はこのように極めて繊細にできているため、化学繊維を使って皮革のような繊細な構造を作り上げることが非常に困難でした。最初は網様層に化学繊維の上に、銀面層に似せたポリ塩化ビニール樹脂をコーティングした擬革が用いられたのですが、連続した構造にはなりませんでした。その後不織布の表面にポリウレタンなどの発泡体を塗布し、その上にナイロン樹脂やポリウレタン樹脂をコーティングし、連続構造に近い合成皮革が生まれました。
 現在では0.1デニール※以下という超極細繊維が生まれ、皮革のコラーゲン繊維構造に極めて類似した三次元立体構造の繊維層をもつ不織布が開発されて、天然皮革に近い性質を示す人工皮革が誕生しました。人工皮革は、ナイロンやポリエステルの超極細繊維を束状に交錯したランダム三次元立体構造の不織布にポリウレタン樹脂を含浸させ、スポンジ化した後表面仕上げして作られます。このようにして作られた人工皮革皮革(商品名:パーカッシオ)と天然皮革の断面図を比較すると、極めて類似した構造であることが分かります。

パーカッシオの特徴

 より天然皮革に近い人工皮革を作るには、超極細繊維の開発、特殊不織布化技術、ウレタン含浸技術、仕上げ表面加工技術などの総合技術力が必要となります。このようにして誕生した人工皮革は、艶や手触りが天然皮革にも遜色なく、さらに、汚れにくく手入れも容易、天然皮革より30%も軽く、広い面積で均質であるなど、天然皮革を越える優れた性質を示しています。ただ、使用に関して感性の面でまだ天然皮革に及ばない点もあり、さらに進化が望まれています。
(情報提供・クラレ)

※デニール(denier)は繊維の太さを表す単位で、1デニールは9000メートルの糸が1 gを示すときの糸の太さを表す。糸は非常に細く柔らかいために、一定の長さの糸が示す質量によって太さを表す。

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