夢・化学-21 日本化学会 くらしの中の化学製品
化学製品について    
 

植物からつくるプラスチック

原料はトウモロコシ

 これまで、石油などから作ることが当たり前だったプラスチックの世界、それが大きく変わろうとしています。化学会社を中心に、植物からプラスチックを作る動きが活発になるとともに、プラスチック製品を大量に使うスーパー、自動車、家電メーカーなどの間でも、植物由来のプラスチックを取り入れようとしています。
 これは、有限な石油資源を節約すると同時に、地球温暖化の原因物質の一つといわれる二酸化炭素(CO2)の増加を防ぐことが目的です。植物は、太陽エネルギーを用いて水と空気中のCO2により成長するので、植物由来の材料は化石資源を原料とする材料に比べて、CO2排出量や化石資源使用量が少ないことになります。つまり、廃棄された後に燃焼や分解によって排出されるCO2の量は、原料となる植物が育つ時に吸収するCO2の量とほぼ同じで、その分、石油由来のプラスチックと比較してCO2を増やさない、カーボンニュートラルな材料といえます。


[出典(Nature Works LLC社より) E.T.H.Vink et al.,Cargill Dow(2003) Polymer Degradation and Stability]

 植物から作られるプラスチックの一つがポリ乳酸です。アメリカのネーチャーワークス社が世界最大の工場で生産し、わが国では三井化学が事業提携し販売しています(ブランド名『レイシア』)。トウモロコシやイモ類などに含まれるでんぷんや糖類を乳酸菌のような微生物の力で発酵させることによって乳酸に変え、化学反応で作るポリ乳酸という物質です。トウモロコシ10粒(5グラム)からレポート用紙大のフィルムシート(厚さ0.025ミリメートル)1枚分のポリ乳酸、ジャガイモ1個(170グラム)からは8枚分のポリ乳酸を作ることができます。
 ポリ乳酸は、環境中やコンポスト中で微生物の力により分解されます。このため、ポリ乳酸で作られたプラスチック製品を使うこと自体が、マテリアルリサイクルサーマルリサイクルなどと同様、環境への負荷(環境負荷)低減に寄与する廃棄物処理法の一つとして期待されています。

 すでにポリ乳酸は卵や野菜、果物などの食品包装、ラップの刃などに使われ、パソコンや携帯電話のケースなどにも採用されています。また、一般的に熱や衝撃性に弱いといわれますが、2005年に開催された「愛・地球博」ではポリ乳酸製の食器が試験的に利用され、実用性があることが認められました。今後は、これら包装容器や食器などの分野を中心に急速に普及していくことが期待されています。
 植物から作られ、最終的にはCO2と水に分解され、それがまた植物に取り込まれていく。プラスチックが、資源循環型社会を形づくるモデルとして普及する日がいずれ来るかもしれません。

(取材協力・三井化学)


▲このページの先頭へ戻る
 
 
化学製品について | 日本化学会 | 夢・化学-21 | プライバシーポリシー | お問い合わせ
夢・化学ー21委員会 (社) 日本化学会
Copyright (C) 2006 Dream Chemistry 21 Committee/The Chemical Society of Japan. All Rights Reserved.
夢・化学-21 日本化学会とは くらしの中の化学製品