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超ロングセラー、蚊取線香のひみつ


蚊取線香の有効成分「ピレスロイド」とは
蒸し暑い夏の夜、耳元にブーゥンと蚊の羽音が聞こえると寝苦しいですね。山や川へレジャーに出かけるときも、虫除け対策は必須です。そこで毎年活躍するのが「蚊取線香」。その成分表示を見てみると、有効成分として「ピレスロイド」と記されています。ピレスロイドは、電気蚊取(マット式、液体式)、エアゾール、ファン式などほとんどのタイプの蚊取り製品に入っています。「ピレスロイド」とはいったい何でしょうか。

約300年前に発見された除虫菊の殺虫力
野菊の一種だった除虫菊(シロバナムシヨケギク)に殺虫成分が含まれているとわかったのは、約300年も前のことです。旧ユーゴスラビアのダルマチア地方に住むある婦人が、庭に生えていた花の周囲で昆虫が死んでいるのを発見したのに端を発したといわれています。その後、除虫菊の価値が認められて広く栽培され、19世紀中ごろには乾花を粉末にして利用していました。
この殺虫成分が「ピレスロイド」です。1958年に除虫菊に含まれている天然化合物の構造が解明され、これを手本にして様々な合成化合物が作られました。

ピレスロイドはどこから出ている?


虫はノックダウン、人には無害、理想的な特長
「ピレスロイド」はごく微量で虫の神経に作用し殺虫効果を示します。ところが、私たち哺乳動物にはほとんど無害です。なぜなら、私たちの体内に入った場合は、神経に届く前に、酸素によってすぐ分解されてしまうため、毒にならないからです(図1)。効果と安全性を兼ね備えた「ピレスロイド」は、家庭用殺虫剤としてまさに理想的な特長を持った化合物なのです。

図1 ピレスロイドは虫だけに効く

日本発、線香に練りこむという大発明
除虫菊を日本に紹介したのは、あの「金鳥」の初代社長でした。この優れた殺虫成分を蚊の退治に使おうと、蚊遣火をヒントに線香に練りこむアイデアを思いついたのが「蚊取線香」のはじまりです。明治23年に誕生した世界初の蚊取線香は、燃焼時間約1時間、長さ30B程度の棒状のものでした。その後、睡眠時間に合わせて太く長く燃焼を続けられるようにと今の渦巻状が完成しました。
100年以上経った今もなお、蚊取線香が日本の夏の必需品、風物詩として親しまれ、世界各地にも普及しているのは、手軽にマッチ一本で、部屋中に効果を広げ、しかも一定の効力を長時間保ち続けられるという(図2)、科学の進歩した今日からみても非常に合理的な殺虫形態であるからです。
図2 蚊取線香は空間&時間を征する


(取材協力 大日本除虫菊株式会社 住友化学株式会社)

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